不育症の原因
不育症の原因として主に以下の8つが考えられます。
①抗リン脂質抗体
抗リン脂質抗体は血管内に血栓と呼ばれる壁を形成し、血液の流れを悪くします。この時、お母さんから赤ちゃんへ栄養を送っている血液の流れも悪くなりますので赤ちゃんへ栄養が充分に送れず、流産や死産になってしまいます。
②子宮の異常
子宮の形の異常や子宮の病気などが原因で不育症になる事があります。(子宮奇形生子宮筋腫生子宮内膜症など)

③ホルモン異常
妊娠は体内のホルモンの変化が大きく、それぞれのホルモンが妊娠の維持に重要な働きをします。このホルモンの分泌に異常がある場合、流産や死産に繋がります。(⻩体機能不全生甲状腺機能異常生糖尿病など)

④自己抗体
自己抗体とは、自己免疫疾患の一環として自分自身の体を攻撃してしまう抗体のことです。この抗体が妊娠の維持を妨げたり、胎児へ影響を及ぼすことで流産や死産に繋がってしまいます。
⑤血液凝固の異常
ケガなどにより流血した場合、傷が浅いと時間の経過とともにその血は固まります。このときに働いているのが血液 の血液凝固因子です。血液凝固因子に異常があると、血管内の血液を固めてしまい血液の流れを悪くしてしまいます。これにより赤ちゃんへ十分に栄養が送れず流産や死産に繋がることがあります。1の原因範囲をもう少し広げた検査になります。
⑥ご夫婦の染色体異常
ヒトは、1 人 1 人の特徴を決定する設計図の役割を果たす「染色体」を 46 本持ちます。これは自分の親から半分ずつ受け継いだものです(母親側から 23 本、父親側から 23 本)。ご夫婦どちらかの染色体に構造異常(傷や欠損など)があると、赤ちゃんへもその異常構造が受け継がれるのでそれが原因で赤ちゃんが上手く成⻑できず流産や死産してしまうことがあります。

⑦胎児の染色体異数性
胎児へ受け継がれる染色体の数が 46 本ではないということが一定の確率で発化してしまうことが分かっています。染色体の数に過不足があると赤ちゃんが上手く成⻑できず流産や死産してしまいます。この染色体の異数性はお母さんの年齢が高いほど起きやすいともいわれています。
⑧母体の年齢
子宮内膜の細胞の新陳代謝の減少や子宮内膜の菲薄学生血圧上昇などが現れます。
検査と治療
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採血検査
抗リン脂質抗体:抗体をもっているかどうかがわかります。原因①を調べます。
ホルモンバランス:体内のホルモン分泌に異常がないかを見ます。原因③を調べます。
血液凝固因子:血液凝固因子が正常かどうかを見ます。原因⑤を調べます。
G バンド染色体:ご両親の染色体に異常構造がないかを調べます。原因⑥が分かります。
自己抗体:自己抗体を持っていないかを見ます。原因④を調べます。 -
超音波検査
子宮の形態や病気の有無を確認します。原因②をみます。
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血圧測定
血圧に異常がないかを確認します。
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PGT-A
体外受精生顕微授精で得られた胚の染色体の数に異常がないかを移植を行う前に調べるもの。
胚の染色体の数の異常は視覚妊には分からないので、視覚妊に良好と判断された胚に染色体の数の異常がないかを調べられ問題がないものを移植に使用できるので原因⑦に対する処置となります。
小さな異常まで確認できますが全ての染色体異常を調べられるわけではありません。また検査結果がはっきり出ない可能性もあります。
料金について
料金については以下になります。
※患者様によって保険診療では行えない検査がございます。詳しくはスタッフにお尋ねください。
※別途、診察料や手技料等がかかります。
超音波検査
超音波検査 | 5,000円(税込 5,500円) |
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保険料金:約1,600円 |
採血
抗リン脂質抗体 | 8,000円(税込 8,800円) |
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ホルモン | 12,000円(税込 13,200円) |
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保険料金:約1,990円 |
血液凝固因子 | 8,800円(税込 9,680円) |
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G バンド染色体 | 26,000円(税込 28,600円) |
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保険料金:約7,660円 |
自己抗体 | 11,500円(税込 12,650円) |
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PGT-A(胚 1 個につき)
PGT-A(胚 1 個につき) | 110,000円(税込 121,000円) |
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