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BCEとALICE違い

BCE(Bacterial Contamination Evaluation)とALICE(Analysis of Linkage for Infection and Chronic Endometritis)について

子宮内の細菌感染や慢性子宮内膜炎を評価するための検査

BCE(Bacterial Contamination Evaluation)と ALICE(Analysis of Linkage for Infection and Chronic Endometritis)は、どちらも子宮内の細菌感染や慢性子宮内膜炎を評価するための検査ですが、目的や方法、対象となる細菌などに違いがあります。以下に、それぞれの特徴と違いを詳しく説明します。

1. BCE(Bacterial Contamination Evaluation)

目的
– 慢性子宮内膜炎であるかどうかを診断する検査。
– 現在慢性子宮内膜炎かどうかは分かるが、それが細菌によるものなのか、その他の原因によるものなのかまではわからない。

検査方法
– 月経が終了してから数日以内に検査を行います。
– 子宮内膜の組織や子宮内腔の液体を採取し、細胞を調べます。
– CD138 細胞の免疫染色を行って慢性子宮内膜症の診断を行います。

用途
– 不妊治療中の患者様に対して、慢性子宮内膜炎を発症していないかを確認するために使用されます。

保険適用の有無
– 保険適用の検査ではないため自費料金での検査になります。

2. ALICE(Analysis of Linkage for Infection and Chronic Endometritis)

目的
– 慢性子宮内膜炎の原因となる特定の病原菌がいるかどうかを評価する検査。
– これらの細菌があっても慢性子宮内膜炎でない方もいれば、これらの菌がなくても子宮内膜炎である方もいます。(子宮内膜炎の診断はできない)
– 慢性子宮内膜炎は、不妊症や反復着床不全の原因の一つと考えられており、その発症の可能性の評価と治療に役立ちます。
– 細菌が原因の慢性子宮内膜炎である場合にはその原因菌の特定ができる。

検査方法
– 子宮内膜の組織を採取し、PCR 法を用いて特定の病原菌の DNA を検出します。
– 主に以下の 9 種類の病原菌を対象とします:
1. Enterococcus faecalis
2. Enterobacter spp.
3. Gardnerella vaginalis
4. Klebsiella pneumoniae
5. Mycoplasma
6. Pseudomonas aeruginosa
7. Staphylococcus aureus
8. Streptococcus spp.
9. Ureaplasma urealyticum

用途
– 不妊症や反復着床不全の原因として、慢性子宮内膜炎が疑われる場合に実施されます。
– 特定の病原菌を検出し、適切な抗菌薬治療を行うことで、子宮内環境を改善し、妊娠率の向上を目指します。

保険適用の有無
– 先進医療技術であるため、保険診療との混合診療が可能になります。

3. BCE と ALICE の違い

項目
BCE
ALICE

目的
慢性子宮内膜炎であるかを評価
慢性子宮内膜炎の原因となる菌がいるかを評価

検査方法
CD138 細胞の免疫染色
PCR 法を用いて特定の病原菌 DNA を検出

診療について
自費診療
先進医療技術のため保険との併用が可能

→原因の分からない慢性子宮内膜炎の治療には「広域の抗生物質の投与」がされます。これは、特定の菌ではなく多くの菌に効く薬剤を使用し完治を目指すものです。そのため、薬剤耐性菌ができてしまう可能性があります。ALICE 検査により原因菌が分かるとその菌に特化した治療が可能となります。

4. まとめ

BCE と ALICE は、どちらも子宮内の細菌感染と慢性子宮内膜炎を評価する検査ですが、目的や対象となる細菌、検査方法が異なります。BCE は現在慢性子宮内膜であるかを診断するのに対し、ALICE は慢性子宮内膜炎の原因となる特定の病原菌を検出するための検査です。不妊治療中の患者様は、自身の状況に応じて適切な検査を選択し、子宮内環境を整えることが重要です。医師と相談の上、最適な検査を受けることをお勧めします。

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